はじめに
今回の記事では、さまざまな障害が原因で、
日常生活や社会生活上の困りごとを抱える人を手助けする、
「障害福祉サービス」についてご紹介します。
申請の方法や、どのような福祉サービスがあるのかなど、
利用に際して必要となる基礎知識を、できるだけわかりやすく解説していきます。
みなさまの参考になれば幸いです。
障害福祉サービスとは?
障害福祉サービスとは、
障害のある人の支援などについて定められた法律である、
「障害者総合支援法」に基づいて提供されるサービスの総称です。
★対象となる人
障害福祉サービスの対象者は、以下に該当する障害のある人に加え、
難病のある人も一部対象となります。
・18歳以上の身体障害者、知的障害者、発達障害を含む精神障害者
・障害児(18歳未満で身体・知的・発達障害児を含む精神に障害がある児童)
※難病の程度が日常生活や社会生活に相当の制限が認められる場合には、
同法律の障害者として扱われ、対象となります。
障害福祉サービス受給者証について
このサービスを利用するには、
受給者証は対象者が住んでいる市区町村へ申請し、承認されると交付されます。
また障害者手帳を持っていなくても、受給者証があればサービスの利用が可能です。
▼ここがポイント
受給者証には、氏名・住所など利用者情報や、
受給者証の有効期限、支給決定期間、
サービスを提供する事業者などが記載されています。
障害者手帳とは違い、障害種別に種類は分けられていません。
また有効期限後も継続してサービスを利用する場合には、
更新手続きが必要となってくるので、注意が必要です。
福祉サービスの内容によって、更新期限を教えてくれる場合と、
そうでない場合があるため、自分自身で、
福祉サービスの更新期限を頭に入れておく必要があります。
主な障害福祉サービスについて
では、主な障害福祉に関する各種サービスを、支援の目的別にご紹介します。
★在宅生活を支援するサービス
・居宅介護(ホームヘルプ)
ホームヘルパーが利用者の自宅を訪れ、
入浴、排せつ、食事などをサポートするサービスです。
介護、調理、洗濯、清掃などの家事だけでなく、
生活などに関する相談や助言など、地域生活全般に関する援助を行います。
こちらはそのサービスの特性上、身体障害者の利用率が高いようです。
・重度訪問介護
重度の肢体不自由・知的障害もしくは精神障害があり、
常時介護が必要とする人が対象です。
ホームヘルパーが自宅を訪問し、自宅生活だけでなく、
外出時おける移動中の介護も含め、
利用者の地域生活を総合的に支援するサービスとなっています。
・重度障害者等包括支援
常時介護の必要度が特に高い人が対象のサービスです。
居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、生活介護、短期入所など、
当事者が必要とする支援を包括的に提供します。
さまざまなサービスを、必要に応じて組み合わせ提供することで、
重度の障害を持つ人でも、安心して生活を続けられるようにサポートしてくれます。
・短期入所(ショートステイ)
障害のある人が、1日から数週間程度を主として、
障害者支援施設や児童福祉施設などに入所できるサービスです。
普段、障害者を介護している介護者が病気になってしまったときはもちろん、
障害当事者が自立したいという気持ちを尊重する支援としても活用されています。
★外出を支援するサービス
・行動援護
行動に著しい困難がある知的障害もしくは精神障害のある人が対象のサービスです。
行動するに際して生じる可能性がある危険を回避するために必要な援護を行います。
障害の特性を理解した専門のヘルパーが、対象者の社会参加と地域生活を支援します。
・同行援護
移動に著しい困難がある視覚障害のある人の不安と不安を解消するサービスです。
対象者に同行し、移動に必要な情報の提供や援護、
さらには排せつや食事の介護など、必要な援助を適切かつ効果的に行います。
代読や代筆など、視覚障害のある人の社会参加や地域生活を包括的に支援します。
★日中の生活を支援するサービス
・療養介護
介護を必要とする障害のある人の入院生活を支えるサービスです。
主に日中行われる機能訓練や医療機関での療養生活を介護・介助します。
また療養介護のうち医療に関わるものは療養介護医療と呼ばれ、
こちらは医療機関における医療的ケアと福祉サービスを併せて提供するものです。
・生活介護
障害者施設などで、常時介護を必要とする人が対象のサービスです。
主に日中の入浴、食事、排せつ、洗濯、掃除などの介護を行います。
その他生活などに関する相談や助言、創作的活動や生産活動の機会の提供など、
障害のある人の社会参加と福祉の増進を支援します。
★住まいの場としてのサービス
・共同生活援助(グループホーム)
障害のある人が共同生活を営む住居で、相談や日常生活上必要な援助を行います。
孤立防止、生活への不安の軽減、
共同生活による身体および精神状態の安定などを目的に、
専門のスタッフがサポートを提供します。
※平成26年4月より共同生活介護(ケアホーム)は、
共同生活援助(グループホーム)へ一元化されています。
自立・就労を目的としたサービス
障害のある人が日常生活や社会生活を送ることを目的に、
リハビリテーションに関わるサービスも提供されています。
規定が細分化されているため、ここでは概要の説明にとどめさせていただきます。
★自立訓練
・機能訓練
身体障害者の身体機能の維持および回復のための訓練を提供する福祉サービスです。
理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションなどが行なわれます。
・生活訓練
精神障害者と知的障害者(発達障害者を含む)が対象となる福祉サービスです。
事業所への通所や利用者の自宅を訪問し、
社会生活を営むための能力の向上を目的に、必要と判断された訓練を行います。
★就労支援
・就労移行支援
一般企業への就職を希望する障害のある人が対象です。
就職に必要な能力や知識を得る目的で利用できます。
就職後も原則6カ月間、就労移行支援事業所からの定着支援が受けられます。
6ヵ月経過以降は就労定着支援事業所と契約することで、
さらに最長3年間の定着支援が受けられます。
・就労定着支援
就労移行支援や就労継続支援などを利用して一般企業などに就職した人が対象です。
利用者の会社での困りごとなどについて相談に乗り、解決策をアドバイスするなど、
企業と連携することで働く環境を整えるサービスです。
対象者は就職後6ヵ月以降の人で、利用期間は最長3年間です。
・就労継続支援(A型・B型)
現状では一般企業への就労が困難な状況の人が対象です。
就労や生産活動の機会を提供することで、知識や能力の向上を図る支援が行われます。
就労継続支援にはA型・B型の2種類があります。
・就労継続支援A型
雇用型とも呼ばれ、原則利用者は事業所と雇用契約を結びます。
労働基準法や最低賃金が適用され、給料が支払われます。
B型と違い、事務作業だけでなく、
カフェやレストランでのホール勤務など、種類が幅広くあるのが特徴です。
・就労継続支援B型
非雇用型とも呼ばれ、利用者と事業所の間に雇用契約はありません。
給料の代わりに作業に応じた工賃が支払われます。
俗にいう「B型作業所」のことです。
契約期間がないため、長期的かつ自由に利用できるのがポイントです。
ちなみに筆者はB型作業所(=翔和学園ワークセンター)に通っています。
まとめ
障害福祉サービスは、障害のある人の困りごとに対し、
さまざまな支援を行うための、地域におけるサービスです。
自治体や事業所によって、障害福祉サービスの内容が変わってきます。
利用するサービスの選択に迷ってしまったときには、
相談支援サービスを利用するなど、
専門家のアドバイスを受けるとよいでしょう。
また、利用したいサービスが決まっている場合には、
直接事業所に問い合わせることで、見学や相談ができる場合もあります。
ちなみに、東京都では、TOSCA(東京都発達障害者支援センター)を利用することもできます。
障害福祉サービスは、多くの障害のある人にとって、
大変心強い支援を提供しています。
的確な支援を得ることで、日々の困りごとについて、
少しでも負担が軽減できると良いですね。
また、自立したいという気持ちや、就労したいという気持ちを持つ障害者の方は、
ぜひ今回ご紹介した障害福祉サービスも併せてご検討ください!
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