はじめに
大学(専門学校)生活も後半を迎えると、
多くの学生にとって実社会デビューのための、就職活動を始める時期が訪れます。
しかしながら発達障害を持つ人の中には、自身の特性が要因で、
「尻込みしてしまう」
「どれだけ努力しても上手く行かない」
このような悩みを声にする人が少なくありません。
そこで、就職活動を支援してくれたり、就職に向けての一般的なマナーを身につけさせてくれたり、
その他大学卒業に向けての学業支援をしてくれたりするサービスを、
今回はひとつ、ご紹介させていただきます(*´ω`*)
さて、みなさんは、株式会社Kaienが提供している、
「ガクプロ」というサービスをご存知でしょうか?
何を隠そう、私は大学4年生の時(2留してるので3回4年生をやっていますがw)、
このガクプロに1年と少し所属していました。
今もずっと仲良しの「まーちゃん」という友達は、ガクプロ時代に知り合った子で、
私のTwitterやInstagramにめちゃくちゃよく登場します(笑)
まーちゃんらぶ!大好きだぜ!(突然の告白)
……というわけで、今回はHPにあるような客観的視点からと、
元ガクプロ利用者としての体験談(主観的視点)から、
そのサービス内容をお伝えしていこうと思います。
発達障害の特性を「特徴という武器」として活かすことが期待される就活をサポートする、ガクプロ。
一体どのような支援プログラムなのか、
ここからみなさんと一緒に確かめていきましょう。
※なお、この記事は2022年12月時点のものになります。
また、体験談については2020年あたりものです。予めご承知おきくださいませ。
ガクプロ(Kaien)とは
ガクプロが提供している主な支援内容は、次の通りです。
- 発達障害のある大学生・専門学校生向けの支援プログラムを提供(診断がない学生にも対応)
- 学生生活をフォローしつつ、最終学年を中心に就職活動を支援
- 発達障害のある子どもを持つ親向けに、親向け就職準備勉強会を開催
保護者対象のイベントとしては、
例えば、「10代以降の発達障害を考える」をテーマに、
進学・進路の現状を知り、発達障害の子を持つ親としての最善を話し合い、
合計7回の勉強会とカウンセリングを通じて、
実社会に巣立つ子どもの将来を二人三脚で考える勉強会……といったものがあります。
ガクプロの支援内容ってどんな感じ?
では早速、ガクプロの提供するサービス内容について、
体験談も少し交えながら、以下ご紹介していきます!
・独自開発の学生向けSST(模擬職場訓練)
アルバイト・学業・友人関係などに関係して、
発達障害の特性ゆえに生じる困り感に寄り添った独自開発のプログラムが受けられます。
鉄道・アイドル・ゲームなど、趣味を共有するサークル活動(※後述)もあり、
コミュニケーションスキルを学ぶための訓練が豊富に取り揃えてあります。
就労移行支援事業所ではないため、仕事に関するスキルよりは、
対人関係スキルを磨くプログラムが多めな印象です。
一概には言えませんが、就労移行支援事業所だと、
どうしても「ビジネスマナー」「ワープロ」などばかりになってしまう部分があるので、
そういった意味で、「ガクプロ」はとても新しいサービスだといえます!
なお、ガクプロはあくまで「大学生向け支援の提供場所」であり、
自立訓練事業所や就労移行支援事業所ではないため、
事業所を利用する際に必要な受給者証の申請が必要ありません。
併せて、発達障害の診断有無についても不問とされているため、
通うハードルが低い場所だといえます。と同時に、もしかすると、
小児自閉症診断のあるうちの子には難易度が高いんじゃ……
といった、「グレーゾーンではなく確定診断がある方」の利用に不安の声もあるかもしれません。
しかしながら、そこは安心してください(*´ω`*)
「ガクプロ」では、(これは主観ですが)グレーゾーンや軽度の方から中程度の方まで、
幅広く利用者がいらっしゃいます。
勿論、見学や体験も行っていますので、そこでまずは様子を見ていただくのがいいと思います。
また、「ガクプロ」を提供する株式会社Kaienでは、
自立訓練事業所、就労移行支援事業所も提供しており、
比較してどのサービスを受けるか選ぶことができるのもメリットの一つです。
私の場合は、ガクプロと就労移行支援をどちらも見学し、
正直仕事のスキルにはそこまで不安を覚えていなかったため(笑)、
楽しそうだったガクプロの方を選びました。
そして友達ができました!!!!まーちゃんらぶ(まだ言ってるw)。
・特性に配慮した就職活動支援
100種類以上のプログラム+1000を超える就活動画集が準備されています。
ログインすればいつでも見られるので、自分の見たい時に見ることができてとても便利です。
就職活動の際にはどんな服装をすればよいのかといった動画や、
履歴書の書き方、面接でのマナーなど、
就職準備に必要なことがわかりやすくまとめられています♫
・通所/オンラインの選択利用が可能
事業所は首都圏と大阪に計5ヵ所で、遠方地域からもオンラインでの参加が可能です。
通所/在宅利用を、利用者の都合に合わせて使い分けることができます。
コロナ禍で瞬時にオンライン選択ができるようになった「ガクプロ」ですが、
オンラインに幅を広げたおかげで首都圏に住んでいない方も参加できるようになったのは、
とても大きな魅力だと言えます。
めちゃくちゃ個人的な感想ですが、株式会社Kaienの鈴木社長は、
ピンチをチャンスに変えるのがすごくうまいなーと思っています(誰目線)。
ちなみに、私が所属していた時には、たまに鈴木社長自身がプログラムの講師をしたり、
学生たちの悩み相談を聞いてくれたり、わりと近しい存在でした(笑)。
・仲間・先輩と会える環境
2023年1月現在も、LINEのオープンチャットを使って、
ガクプロに在籍している方からもう卒業した方まで、
気軽に話せる場所が提供されています。
ただ、このオープンチャットは若干難があって、
運営の対応が追い付いていない時があるので、
SNSで心を病みやすいタイプの方や、通知がうっとうしいと感じる方などには、
もしかすると向いていないかもしれません……。
一応、同じような興味・関心・悩みを持つ仲間に出会えるチャンスが広がる環境として、
そういった場所もあることをお伝えしておきます。
また、コロナ禍になってからの開催はちょっとわからないのですが、
前は先輩から後輩への「就業体験談」を語る会などが開かれていました。
実際にガクプロを利用して就職した方のお話が聞けるので、
それは純粋にとてもいい仕組みだなと思います。
今もやってるといいな~、オンラインでやってたかな?
・定期的な家族相談を実施
在籍するガクプロ生本人だけでなく、ご家族のお悩みも含めて、
定期的な個別相談で担当スタッフとお話することができます。
例えば本人に自覚のない困り感についても、
一度親とスタッフだけで話すなど、柔軟な対応が可能です。
また、普段ガクプロでどのように過ごしているか聞くことができるいい機会なので、
個別面談は積極的にしていくことをおススメします。
ちなみに家族面談は(私の在籍時は)3ヶ月に1度程度でしたが、
ガクプロ生本人がスタッフに直接1対1で悩み相談をするのは、
わりといつでもできた気がします。
私はよく喋るタイプの在籍生だったので、
しょっちゅう時間を取ってもらっていました(-_-;)
ありがとうスタッフ〇〇さんたち……。
プログラム内容について
続いてはガクプロで実施されている、大学(専門学校)生向けの講座に関する解説です。
発達障害のある人に必要と判断された支援を、より確実に届ける目的で開発された、独自のカリキュラムです。
カレッジ講座
学生生活を送るうえで、同級生・先輩・先生とのコミュニケーション、学習に対する取り組み方、各種届け出などについて学びます。
・学習編:単位取得のための履歴登録の方法・レポートの書き方・定期試験対策・スケジュール管理・資格試験へのチャレンジなど
・知識編:合理的配慮・学内でのサポートの受け方など
・ライフスキル講座
社会人として安心した職業人生を歩むために、ソーシャルスキルとライフスキルの基礎を確認します。
あいさつをする会話の始め方・物事の上手な頼み方・相手への心遣いなど、
場面に応じたライフスキルを少しずつ身につけることができます。
・就活講座
一般枠と障害枠いずれも、就活の始めから内定後までの流れと注意点などを学びます。
障害者雇用だけでなく、一般雇用での内定率も高く、
今はまだ少ない一般雇用のオープン採用にも明るいので、そういった就職を考えている方は必見です!
・サークル活動
同じ興味をもつ仲間とのつながりを持つことができるセッションです。
定期的に開かれるものとしては、
- 鉄分濃度高めの会:別名鉄ヲタの会で鉄道好きがめちゃくちゃよく語ります(笑)
- ブックレビューの会:おすすめの本やマンガを紹介し合う落ち着いた会です。
- 男子会/女子会:ただの雑談会です(笑)
- シチズンシップ部:これだけ少し毛色が違って、ガクプロで行う月一くらいのイベント内容を考える会です。
などがあります。といっても、本当にサークルとしてそれぞれがどこかに所属するのではなく、
毎週なにかしらの会が開かれており、好きなタイミングで好きな時に参加するといった形式です。
シチズンシップ部に関しては、その性質上、
メンバーがある程度固定されていますが、一応自由参加だと思います。
学校の文化祭委員みたいなものをイメージしてもらえればわかりやすいかな?
なお、シチズンシップ部で決めたイベントをイベント日に行うために、
シチズンシップ部メンバー以外の人も同じく準備をして、
みんなで協力することがあります。
イベント以外でも、例えばガクプロ卒業式でのプログラム内容をシチズンシップ部で決めるなどしました。
とても懐かしいです。あ、私は良く喋るガクプロ生だったので(2回目)、
もちろんシチズンシップ部には在籍?していました(笑)
まとめ
本当は体験談ももう少し載せたいのですが、もうすぐ年度末を迎えるこの時期に、
まずは一度「ガクプロ」という選択肢があることを知っていてほしかったので、
先に記事を公開しておきます。そのうち追記していくことでしょう……おそらく(笑)
平成後半から令和の時代へと、
発達障害に対する世の中の認識は、少しずつながら着実に広がりをみせています。
それに伴い多くの職場(企業)や学校などでも、
発達障害のある人の受入態勢に対し、積極的な対応がなされています。
しかしながら当事者がそれぞれの特性ゆえに感じる困りごとは、
環境整備だけで解決できるものばかりとは限りません。
今回ご紹介したガクプロは、
そうした発達障害のある人のさまざまな支援を行う民間企業が運営する、
株式会社Kaienによる、支援プログラムのひとつです。
学生生活を終えて実社会に羽ばたくことに対しては、
障害の有無に関わらず、誰もが不安を覚えて当然です。
自信が持てないことで自分自身を責めたりせず、
こうしたサポートを活用してみることも、ぜひ視野に入れていただければと思います。
ちなみに厚生労働省も、発達障害者個々の特性に応じた職業相談を、
福祉・教育等関係機関と連携して実施しています。
さまざまな選択肢があることを、ぜひ覚えておいてくださいね。
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