はじめに
ほんの少し、未来のことを考えてみましょう。
「最近聞こえづらい、聞き取りづらくなったかも?」
このように自覚し始めたとしたら?
「最近テレビの音が大き過ぎるよ」
家族からこのように指摘される場面が増えたとしたら?
……。
まだ早いかな?まだ大丈夫かな?
多くの人が真っ先に思い浮かべるのが、
“補聴器”の使用についてでしょう。
「聞こえ方を改善するなら補聴器を。」
多くの人が声を揃えるこの三文字は、読んで字の如く、
聞こえづらさを補う機器として、人々の間に浸透してきました。
では、この“補聴器”と比較される新たな機器が、
近年注目を集めていることをご存知でしょうか?
それが――、“集音器”。
よりお手軽に購入できるという理由から需要が高まり、
今も続々と新製品が発売されています。
ここでは以下、補聴器と集音器に関する基礎知識をご紹介します。
それぞれの相違点や特徴などを、
みなさんと一緒に確かめていけたら幸いです♪
補聴器とは?
まずは補聴器に関して、要点を押さえた解説をお届けします。
少し堅苦しい表記も出てきますが、
補聴器を正しく理解するうえで大切な内容ですので、最後までご一読ください。
★補聴器は厚生労働省認定の医療機器
補聴器は薬事法(法律)に基づき、厚生労働省の承認を受けた医療機器です。
ちなみに、医療機器とは、
薬事法で定められた一定の基準を満たす機器を指します。
機種ごとに厳しい検査が義務づけられており、
一定の効果や安全性が認められたうえで製造販売されています。
補聴器においては、以下のようなものが、
代表的な基本性能として制定されています。
- 使用する個人個人の聞こえ方に合わせた調整(フィッティング)が行える
- 大きな音が出過ぎぬように出力制限機能がついている
★補聴器は原則対面販売
補聴器は使用者それぞれの聞こえ方に合わせてフィッティングを行い、
販売員と相談しながら機種を選択する商品です。
そのため、対面販売が原則であり、
いわゆるネット通販などの対象商品ではありません。
また、購入後も調整やメンテナンスを重ねることで、
使用者の耳に馴染み、より聴き取りやすい補聴器に仕上がります。
▼ここがポイント
補聴器は薬事法が定める管理医療機器に分類されています。
新製品が開発されると効果や安全性について、厚生労働省の認可を受ける必要があります。
さらには基本対面販売であることなど、さまざまな制約が設けられています。
集音器とは
集音器は周囲の音を大きくすることで、
日常生活での聞こえにくさを軽減する機材です。
先述の通り、補聴器には満たすべき基準が定められていますが、
集音器にはそれがありません。
基準を満たしていない製品の呼び方は、メーカーごとにさまざまです。
そのなかの一つが“集音器”であり、
“補聴器”に似た性能を持ちながらも、
管理医療機器に分類されないものの多くが、
“集音器”と呼ばれる傾向にあるようです。
★医療機器ではない集音器
集音器は医療機器ではないため、
補聴器販売時に求められる対面販売やフィッティングを必要としません。
したがって、家電販売店やネット通販などで気軽に購入できるのが、
補聴器との大きな違いだといえます。
価格帯についても、補聴器に比べると安価であることが多く、
手軽かつ身近な機器として人気を博しています。
一方で、補聴器のようにフィッティングを行う、
自分の耳に合うよう繰り返し微調整を行う、といったことができません。
そのため、アフターフォローやメンテナンスの点では、
補聴器と比較して不安が残るともいえるでしょう。
★集音器のさまざまなタイプ
集音器は、通販サイトなどでも購入できるため、
バリエーション豊富な商品が市販されています。
ここからは、代表的なタイプとそれぞれの特徴をチェックしておきましょう!
・耳あな型
読んで字のごとく、耳の穴に入れる装着法で集音するタイプです。
小型で周囲に目立ちにくく、耳の穴の位置で集音するため、
音がする方向が分かりやすいメリットがあります。
実際の音に近い自然な音が聞こえるといわれています。
・耳かけ型
耳の上にかける装着法で、耳あな型よりも本体が大きいため、
周囲の人が気づく可能性が高いタイプです。
多機能搭載品も製造販売されています。
・ポケット型
本体をポケットに入れ、イヤホンをつけて使用するタイプです。
携帯ラジオを聴いている感覚で、手元で見ながら簡単に操作できます。
▼ここがポイント
集音器は専門医のカウンセリングや専門店のフィッティングが不要です。
自分の好みの形状や使う環境に合わせ、
ネット通販などで簡単に入手でき、安価な商品も少なくありません。
一方で、細かな調整そのものができず、
いざ使い始めて合わなければ再調達……、となってしまう点が、
大きなデメリットといえるでしょう。
それぞれの違いをザックリと再確認
ここからは上記の内容をより噛みくだき、
身近なたとえに置き換えて補足説明しながら、
今一度再確認していきたいと思います。
「聞こえにくい」の症状は十人十色です。
- 特定の周波数(音域)だけが聞き取りづらい・もしくは聞こえない
→たとえば「成人男性が話す音域だけが欠落してしまう」などがあげられます。
- あらゆる音が混在一体となって聞こえるため、元来聴き取るべき音をとらえられない
→雑踏の騒音に囲まれているかのように、すべての音が耳に飛び込んでしまう状態です。
など
さて、少し強引な例えになりますが、
“集音器”の効果は冒頭で触れた、
テレビのボリュームを大きくする対処と基本的には同じだといえます。
鼓膜に届くすべての音を一律に大きくすることで、
小さくて聞き取りづらかった音を確かめる効果が期待されます。
いわゆる「耳が遠い」と表現される人には喜ばれると思われる反面、
すべての人に有効であるとは限りません。
それに対して、補聴器は(セミ)オーダーメード品です。
使用者が求める聞こえ方により合致するよう、微調整を重ねることができます。
つまり、聞こえづらい特定の周波数の音だけを聞こえやすくするなど、
その人に合った、より的確な補助効果が期待できる機器が補聴器です。
初期投資は集音器よりも高額となりがちですが、
中長期的な使用を通じ、使用者とより一体化できるため、
長く使えるというメリットが大きな魅力だといえます。
※なお、近年の技術の進化に伴い、スマホのアプリで音量調整や雑音抑制ができる集音器も販売されています。
ご紹介したのはあくまで一例ですのでご参考程度になさってください。
まとめ
補聴器もしくは集音器を使い始めたことで、
それまで聞こえなかった音が聞こえるようになるメリットは計り知れません。
一方でこれらを使い始める前までは気にならなかった、
さまざまな小さな音までが耳に飛び込んでくることで、
「会話に集中しづらくなった」
「絶えず聞こえ続ける雑音にストレスを覚える」
など、それまでとは違う聞こえ方に、
戸惑いやデメリットを覚える人もみられるようです。
補聴器もしくは集音器いずれかの購入に際しては、
専門店や専門医に相談することをおすすめします。
実際の聞こえ方は当事者のみぞ知る、ですが、
補聴器や集音器のことは、専門家のほうがより詳しいといえます。
ミスマッチを防ぐためにも、まずは専門の方にご相談くださいね(^^)/~~~
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