はじめに
みなさん、こんにちは。
近年でこそ世間一般に周知されつつある発達障害ですが、
まだまだ正しく理解されているとはいえないのが現状ではないでしょうか?
言葉だけが先行してしまい、「自称発達障害が増えている」といった意見も散見されます。
インターネットで検索すれば、「ADHD診断」「発達障害診断」といった、
あまり根拠のないものも、残念ながら多く見受けられます。
さて、発達障害をきちんと取り上げた地上波の番組を、みなさんはご存知でしょうか?
この取り組みに力を注いでいる放送局は、国営放送局、すなわちNHKです。
NHKが放映してくれている情報ともなれば、信頼性は抜群ですね♪
「NHK発達障害プロジェクト」と銘打たれたこの企画は、
まだまだ潜在的に多くの誤解や無関心が否めない発達障害を、
さまざまな視点から紹介しています。
実際に番組が放映されたのは、なんと2018年のことで、
まだ世間に発達障害という言葉が浸透していなかった頃のことです。
したがって、こちらの「NHK発達障害プロジェクト」を知っている人は、
当事者・支援者含め、かなり少ないのではないかと思っています。
実際、私が主催しているイベントにいらっしゃる方でも、
こちらの取り組みを知っていた人は、これまで一人もいませんでした(~_~;)
こちらの「NHK発達障害プロジェクト」で取り上げられた内容はもちろんのこと、
同局が無料ダウンロード配布している「発達障害のトリセツ」がめちゃくちゃ有能です!
今まで何人にこのトリセツを薦めてきたことか……(笑)
ここではより多くの人に関心をお持ちいただくべく、
このプロジェクトの内容や特徴などを、ご紹介していきます!
地上波で取り上げる発達障害
発達障害に関するさまざまな知識や情報は、
インターネット上や専門(関連)書籍など、さまざまな媒体で確かめられます。
しかしながら、それらの多くは、
必ずしも身近な存在とはいえないことでしょう。
例えば、書店にあるような、医療機関・医師・専門家による本は、
それらの大半が非常に難解で、一般人には読みづらい傾向にあります。
医学書であったり、研究結果であったり、
その内容は様々ですが、どれも医療関連の記述である以上、
自然と文章は硬くなり、より難解なイメージが先行してしまうのが現状です。
信頼に値する関連情報の大半が、
一般大衆には「とっつきやすいもの」とはいえぬ、皮肉な現状となっています。
では、「とっつきやすいもの」とは、どういった媒体でしょうか?
まさしく、皆さんが今みているように、
インターネット上のWebサイトが挙げられます。
しかし、匿名性が極めて強いインターネット上には、
発信者不詳の真偽が怪しい情報が、数多く混在しています。
私自身、発信者として細心の注意を払いつつ記事を構成しておりますが、
それでもどのページも「医学的に正しい」「間違っている部分はない」といったことはありません。
さらに、あまり普段は意識していないかもしれませんが、
Webサイトの記事というのは、大抵ソース(情報元)が曖昧です。
例えばの話ですが、「発達障害とは?」と検索してヒットした記事の多くは、
どれも似通ったものがトップに出てきます。
一方が他方をコピペしたのが明白な、複数のサイトが存在するのです。
スマートフォンが普及しはじめたころは、
インターネットの情報について、いくつかのサイトを比較したうえで、
その真偽を確かめるようにネットリテラシーの授業などで教えられてきました。
しかし、デジタルネイティブと呼ばれる世代が増加してきた現代では、
間違った情報を複数のサイトが載せていることが、全く珍しくありません。
そして、複数のサイトが同じことを言っているから、と、
どこか情報を鵜呑みにしてしまっている部分が、最近は多く見受けられます。
ブログサイトの発信者として心苦しいことではありますが、
実際、大量の記事をちょっとだけリライトするといった、
ライターの仕事も巷には溢れています。
発達障害に関するサイトもまた、同様の状況である可能性が否定できません。
したがって、「とっつきやすいもの」であるインターネット上の情報は、
その信頼性が確保できないというデメリットを抱えています。
これらに対し、テレビ(地上波)の番組で取り上げる内容に関してはどうでしょうか?
すべてのテレビ番組は、
放送倫理上、諸々の厳しい審査をパスしなければなりません。
さらにテレビ番組制作に際しては、
不特定多数の視聴者に向けて、よりわかりやすく伝える番組づくりが求められます。
文字と挿絵だけの書籍や、文字と画像で構成されるサイトとは違い、
出演者の生の声や動画を用いるなど、さまざまな情報発信が可能です。
テレビという大衆性に富んだ媒体が、
発達障害をテーマに取り上げたことは、大袈裟でなく画期的な出来事でしょう。
偶然テレビの前にいる視聴者に、
発達障害という四文字が届いたことがきっかけで、
理解と情報共有が始まり広がる展開が、大いに期待されます。
テレビの特性を活かした番組作り
二次テレビという媒体の情報は、
不特定多数の人たちに向けて、一方通行で発信される特性があります。
閲覧者が自分の意志でURLにアクセスするインターネットや、
手に取って開く書物とは、大きく異なる特徴です。
発達障害は、言葉選び1つを挙げても、
細心の注意が求められる、ある意味非常に難しいテーマです。
この繊細なテーマに対し、大衆の視線と興味を集めるべく、
同プロジェクトでは、以下のような試みがなされています。
★人気シンガー・ソング・ライターの起用
番組のオリジナルイメージソングとして、
若者世代を中心に大きな支持を得る、
人気シンガー・ソング・ライターの楽曲を採用しています。
発達障害者の困りごとや心情を、
比喩表現で明るくやさしく歌い上げる楽曲は、
多くの視聴者の心を掴んでいます。
★実在の発達障害者が動画に出演
発達障害を持つ当事者の出演は、
「発達障害は隠すべき疾患でも、恥じるべき症状でもない!」という、
力強いメッセージを発しています。
数多くの困りごとと向き合う発達障害者の姿を、
なるべくありのままに伝える動画は、なかなか存在しないものでしょう。
★出演者が生の声で語る発達障害
オンエアごとにさまざまなコメンテーターが登場し、
発達障害に関するそれぞれの見解などを、生の声で語ります。
人が語ればそこには感情が入り、
静止画面や書面とは比べ物にならない、「伝達力」「説得力」が生じます。
堅苦しい文章の朗読ではなく、口語表現で語られることで、
自然と噛み砕かれ、分かりやすい情報発信となります。
画面越しに直接語り掛けられるような感覚で、
視聴者は発達障害に関する情報を、各々の目と耳で確かめられます。
発達障害が実は大変身近な疾患であることを伝える上で、
大きなメリットが期待できる番組づくりがなされています。
視聴者に理解を求めるメッセージ
このプロジェクトで放映される番組は、
発達障害者の困りごとに対する、
理解と工夫を求める内容が軸となっています。
発達障害当事者ではない人たちにとって、
その理解や工夫をすることは簡単なことではないでしょう。
しかしながら、「知らなかった」から「知った」に変わり、
「理解したい」「配慮したい」という気持ちが芽生えることには、
必ず意味があるはずです。
これを見て、発達障害に興味を持った方もきっと多くいることでしょう。
そうやって少しずつ社会全体が変わっていくといいですね。
便利すぎる「わたしのトリセツ」
先述の通り、「NHK発達障害プロジェクト」は、番組放映だけでなく、
こんな便利なものまで作ってくださいました♪
無料ダウンロードして使える「わたしのトリセツ」は、
多くの発達障害当事者にとって、必ず役に立つものとなるでしょう。
特に、これから就労を考えている方や、
大学への合理的配慮を求めたい方には必見の内容です!
この「トリセツ」は、当事者・支援者双方に役立つ内容となっており、
「読んで学ぶ、気づく」だけでなく、「書いて伝える」こともできます。
「NHK発達障害プロジェクト」が生み出した「わたしのトリセツ」は、
なんと、PDFのまま無料で保存ができるため、
スマートフォンやタブレット端末、パソコンなどから、
ダウンロードし、印刷して使用することができます。
これが本当に便利です。
実際に私のイベントにいらしてくださった方へ、このトリセツを紹介したら、
以下のようなお声をいただくことができました!
NHKさま、本当にありがとうございます(*´ω`*)
この「わたしのトリセツ」には、これを渡された方へのメッセージも同封されています。
そのため、発達障害を詳しく知らない人にも、知ってもらう機会になるやもしれません。
おわりに
「NHK発達障害プロジェクト」を通じ、
「困りごとのトリセツ」として発信される多くの情報は、
障害を持たない人にとっても、さまざまな場面で役立つ内容に富んでいます。
「NHK発達障害プロジェクト」では、
発達障害者自らが、さまざまな体験談を投稿しており、
それぞれが行っている対策や、周囲が行っている対策などが紹介されています。
環境音で極端に疲れやすい……。
仕事を与えられると、自分でセーブができずに、
頑張りすぎてしまい、体調を崩す。
「ちょっと待って」ってどのくらい待てばいいの!?
様々な「当事者の声」を、カテゴリー別に読むことができます。
下の画像をクリックして、ぜひ読んでみてください。
「問題児だった小学校時代の同級生も、もしかしたら発達障害の特性があったのかもしれないな……」
「同僚の特性と同じだ。知らずに随分と傷つけてしまい、申し訳なかったな」
投稿されたたくさんのメッセージを読んだあなたは、
上記のような「気づき」を多く受け取っていることでしょう。
そして「気づき」を得たのであれば、次にやる行動は決まっています。
そう、この記事で繰り返し登場する「理解」「共有」「工夫」です。
障害を持つ人と持たない人、お互いがお互いに歩み寄って理解に努め、
情報を共有し、工夫を惜しまぬ姿勢が望まれます。
同プロジェクトは、多様な価値観を共有できる社会の構築を実現すべく、
地上波のメリットを最大限活かした、発達障害に関する情報発信を続けています。
ぜひ確認してみてくださいね(^^)/~~~
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