はじめに
皆さんは、「試し行動」という言葉を聞いたことがありますか?
愛着障害やそれに似た症状を持つ方に多く見られる行為のことで、
- 物を投げる
- 大きな声で泣く
- 自傷行為をする
- わざと物を壊して散らかす
- 度の越えたワガママを言う
- 叱られても同じことを繰り返す
などといった、自分も周囲も困ることが多い行動が見られます。
では、なぜ「試し行動」をしてしまうのでしょうか?
また、その対策としてどのような方法があるのでしょうか?
「試し行動」をしてしまう当事者として、その一例を下記、ご紹介いたします。
究万(くま)は、広汎性発達障害、ADHD、ASD、双極性障害、といった診断を受けています(2022年6月現在)。
試し行動は診断を受ける前からありましたが、試し行動をそれとして認識したのは、
診断を受けてから1年後くらいです。また、診断名以外にも、発達障害の派生症状として、
不安障害の症状や、PMDD(月経前気分不快症候群)の症状があります。
「試し行動」の理由
一般的に、「試し行動」をしてしまう理由としては、
相手に対して、自分をどの程度まで受け止めてくれるか探るため、といったものが挙げられています。
「本当にこの人は自分を愛してくれているのか?」
「どの程度までの行為なら怒られずにすむのか?」
「試し行動」を通して探り、相手の対応によって愛情を測るわけです。
ここまで聞くと、とても自分勝手な行動のように思えますが、
「試し行動」をする多くの人は、したくてしているわけではありません。
辞めたいと思っているのになかなか辞められない、それが「試し行動」です。
どうして自分の意思に反して、「試し行動」をしてしまうのか、
その理由に、しばしば、愛着障害が挙げられます。
愛着障害とは、養育者と愛着が何らかの理由で形成されず、
子供の情緒や対人関係に問題が生じる状態を指す障害です。
主に幼年時代、例えば虐待などを原因として診断されることが多いといえます。
大人になってから診断されることは稀ですが、
この症状を持っている大人は少なくありません。
ちなみに、この行為は、未就学児にも多く見られるといわれています。
それは親の愛を確かめたいという純粋な気持ちから行われるものであり、
多くの場合、成長と共に緩和されていきます。
しかしながら、先述のように、被虐待児であった場合や、親と別離、
そうでなくとも何かしら愛着形成に問題が生じた場合は、
大人になってからも「試し行動」が辞められない障害を持ってしまうことがあります。
そして、「試し行動」を通して相手の自分に対する愛情の深さを測り、
相手の対応によっては、「やっぱり自分は愛されていない」と、
感じてしまうことも多々あり、対処が難しい障害です。
私の場合も、「相手に愛されているか不安」「相手が私を嫌わないか不安」といった気持ちから、
「試し行動」をしてしまうことが多く、相手の対応によっては、
相手を拒絶してしまったり、相手を貶めるようなことを言ったり、
自傷行為が激しくなったり、困った行動に結びつくことが少なからずあります。
「試し行動」の対処は?
「試し行動」をする当事者の根底にあるのは、愛着形成上の問題だと考えられています。
では、どう周囲の人々はどう対処すればよいのでしょうか?
正直、これに答えはありません。
おそらくどのサイトを見ても、「当事者の心に寄り添う」といった内容が書かれています。
しかしながら、「当事者の心に寄り添う」ことは簡単なことではありません。
そして、「当事者が望む行動」を毎回することが、必ずしもいい結果を生むとも限りません。
それでもあえて、私の実例を挙げるとするならば、
「地雷行動」のみを避けて、その場その場で対処していくのが良いと思われます。
私の「地雷行動」は、怒鳴られることです。
自傷行為をしたり、ワガママを言ったり、私が「試し行動」をしたとき、
その自傷行為を止めるか否か、ワガママに従うか否か、
そういったことはその場で対処するしかなく、
いくら臨機応変に周囲が対応しても、「正解」に辿り着くのは難しいでしょう。
しかし、私の場合、「怒鳴られる」ことだけはご法度です。
自傷行為を怒鳴られる、ワガママを言って怒鳴られる、
それさえ避けてもらえれば、
その場ではうまく対処できていないように見えていても、
少なくとも「間違い」ではない対処であった、と判断することができます。
怒られなくてよかった……。落ち着いたら謝っておこう~
もちろんこれは私の意見であり、ただの一例です。
もし、身近に「試し行動」をする人がいるのなら、その人の「地雷行動」は何か、
難しいとは思いますが、探ってみるのをオススメします。
そして、もし、自分が「試し行動」をしてしまうのならば、
自分にとっての「地雷行動」は何なのか、よく分析してみてください。
そうすることで、もしかすると、次への一歩、糸口が見つかるやもしれません。
おわりに
あまり無責任なことは言えませんが、「試し行動」というのは、
本人も、周囲の人も苦しめる行動です。
愛着形成に問題があったからといって、必ずしも養育者が悪いわけでもありません。
原因が不明であったり、癖になってしまっているだけであったり、
様々な可能性が考えられます。
「試し行動」を辞めたい人、辞めさせたい人、様々な人に、
私の一意見が少しでも参考になれば幸いです。
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