ディスレクシアとは?
ディスレクシアとは学習障害の種類の1つで、特に読み書きに困難があることをいいます。
知覚にも聴覚にも、知的にも問題はありません。
さらに、中には勉強をする意欲が高い子さえいます。環境的な問題もないとされています。
しかし印刷された文字を読むことに困難を抱えています。
耳で聞く言葉や口で話す言葉には大きなトラブルがない、ということも特徴の一つです。
やればできそうなのにやってもできず、しかも基礎的な所でつまずいているため、
どんどん勉強が遅れてしまうことも困りごとの一つだと考えます。
できること、できないこと
先生や友達の話を聞いて内容を理解したり自分の意見を口で表現して伝えたりすること。
これは、大体の場合、問題なくできます。
一方で教科書を声に出して読むことや、板書の書き取り、作文を書くことは苦手です。
耳や口からの話の理解度は十分高いのにもかかわらず、
書き言葉や音読の苦手さの落差が激しいため、なかなか周囲に理解されず、
「怠けている」「努力が足りない」などと低く評価されてしまい、
本人の自己肯定感を下がってしまうこともあります。
もし周囲に思い当たる節がある人がいたら、
「努力不足」の一言で片づける前に、その人の話を聞いてみましょう。
ディスレクシアの困りごと
ディスレクシアには困った点があります。
それは、発見がほかの障害よりも遅いということです。
例えば知的障害であれば、乳児検診や、親、幼稚園の先生が気付くことで、
発見できる可能性が高いといえます。
聴力や視力に問題がある場合も、乳児検診や3歳児検診で気づくことができます。
しかし、ディスレクシアはなかなか見つけにくい障害です。
学習の習得度は人によってそれぞれ違い、
1年生でひらがなを間違えて書いてしまっても、大して問題にされません。
音読で漢字を間違えて読んでしまったり、時間がかかったりしたとしても、
「読むのが苦手なのかな」「まだ漢字を覚えていないのかな」という程度で、
周囲は本人の困りごとに気がつかず、見過ごしてしまいがちです。
ディスレクシアをもつ人たちの「文字の見え方」
では、目で文字が見えているのに、読めないとはどういうことでしょうか。
ひとくちに「文字が読めない」といっても、
- 文字がにじんで見える
- かすんで見える
- 鏡にうつしたように反転して見える
- 文字が歪んで見える
- 文字が二重に見える。
などがあり、見え方は人それぞれのようです。
また、ディスレクシアの人にはその見え方に問題があるだけで、
文字が見えないというわけではありません。
ディスレクシアの要因
私たちは、文字を見た後には脳の中で文字と音をマッチングさせることで、
発声しているといわれています。
私たちは簡単に文字を読んだり書いたりしていますが、
実は脳の中で、たくさんの作業工程があります。
ディスレクシアの人たちは、その作業工程がうまくいかずに、
読んだり、書いたりすることが難しいようです。
他の要因としては、紙から反射される光の波長の処理が困難で、
文字が見えにくくなったり、疲れやすくなったり、読み間違いなどが多くなったり、
といったこともあると考えられています。
ディスレクシアの世界を体験
では、試しに「ディスレクシアの人たちの世界」を体験してみましょう。
紙とペンを用意してください。
用意できましたか?
「あ」という文字を、鏡文字で書いてみてください。
いかがでしょうか。うまく書けたでしょうか。
鏡のように反転していますか。
鏡文字になって反転してしまうことの難しさが、
ディスレクシアの人たちの世界の一つです。
難なく鏡文字をかけたという方は、自分の名前の漢字や、
身の回りの単語を鏡文字で書いてみてください。
おそらく、スラスラかける人はあまり多くないと思われます。
ディスレクシアの人も同じような困難を抱えているといえます。
治療法はあるの?
現在、根本的に改善する治療法、治療薬は存在しないとされています。
また、本人の努力、周りの援助によって治るようなものでもありません。
ディスレクシアの人たちの支援は、対処療法によってきます。
根本的な治療法がないなら、病院にかかっても仕方ないじゃないか!
そう考える人もいるかもしれません。
しかし、ディスレクシア以外にも、ADHDやASDなどの、
発達障害が隠れている可能性があります。
また、不当に低く評価されてしまうために自己肯定感が下がり、
うつ病になる可能性も否定できません。
そのため、専門医に診てもらうことで、
二次障害の予防や適切な支援を受けられるようにすることが必要です。
支援について考えられるのは、
視覚による情報処理を聴覚で補う読み上げソフトなどがあります。
治らないからと言って、何もしなくていい、何もやらない、
何をしても無駄、というわけではありません。
そのほか、紙から反射される光の波長の処理が困難で文字が見えにくくなる場合は、
カラーフィルターを文字の上からかぶせることが効果的とされています。
本人に合った対策を取ることで、二次障害の予防ができるといえます。
少しでも困難を軽くできると幸いです。
まとめ
ディスレクシアはなかなか見つけにくい障害ではありますが、
その可能性を感じたら早期発見・早期対処が必要なので、
まずは専門医に行くことをお勧めします。
そのうえで、どのような支援が本人に合っているか見極め、
周囲の人たちもうまくサポートしていきましょう。
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