精神保健福祉士は、1997年に作られた日本の国家資格の一つです。
もともとアメリカに以前からあったPSW、
サイコ・ソーシャル・ワーカーと呼ばれる職能とほぼ定義は同じです。
名前から分かる通り福祉職であり、ソーシャルワーカーの一種であるわけですが、
その中で精神保健医療分野に特化した存在であり、
精神障害者の自立や社会復帰を支援することを主目的とします。
■医療領域における精神保健福祉士
精神保健福祉士というものそれ自体は資格の名前に過ぎませんので、
実際のかれらの職域は多岐に渡りますが、もちろんその性質上、
中心となるのは精神医療に関わる医療機関ではあります。
精神科病院
昔は精神病院と言ったものですが、2006年に精神科病院という言葉に改められました。
入院病床がある精神科の治療機関を言います。
入院に伴う患者やその家族の不安や悩みを受け止め、
また医師の診察に必要な情報を聞き出してもいきます。
そこには単に症状に関するものだけではなく、
成育歴から受診に至るまでの子細な聞き取りが含まれます。
いざ入院となった場合は、患者の学校・家族・職場などとの調整や、
経済的な相談に応じたり日常的な相談を受けたり、といったことを行います。
また退院に際しては、社会への再受け入れを調整していく仕事に携わることになります。
クリニック
病院とクリニックの最大の違いは入院病床があるかどうかで、精神科でもそれは同じです。
ここでの精神保健福祉士の仕事は、医師と協力して生活の状況を聞き出すことや、生活課題を考えること、
デイ・ケアの通所をあっせんすることなどが挙げられます。
■行政機関における精神保健福祉士
すべての精神保健福祉士が医療機関に籍を置いているわけではありません。
行政機関などで働いているケースもよくあります。
精神保健福祉センター
精神保健福祉法に基づいて、
すべての都道府県と政令指定都市に置かれている施設です。
もっとも大きいものになると「総合精神保健福祉センター」といって、
就労支援機能まで内包しているところもあります。
もっともすべての精神保健福祉センターに、
精神保健福祉士が在籍しているわけではないのですが、
8割方は配置されていて、専門的なソーシャルワークを提供しているのはもちろん、
他機関との連携や、あるいは研究活動などに当たっているような、
精神保健福祉士も存在しています。
保健所
保健所にも精神保健福祉士がいます。
精神科の受診に関する相談、社会復帰に関する相談、
そしてここで多いのが家族会・患者会などの組織育成になります。
市町村
市町村に直接採用されている精神保健福祉士もいます。
障害福祉サービスを企画する、
法律に基づく各種サービスの手続き事務にあたるなど、
多様な業務に携わっています。
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