リワーク・プログラムというのは、
「return to work」の略から生まれた言葉で、
日本で発祥した、もともとは作業療法の流れを汲む職場復帰支援プログラムです。
1997年、秋山剛医師によって始められ、
その後日本全国の医療機関に広がり、2008年には研究会なども発足しています。
■リワーク・プログラムの目的

精神疾患を理由に仕事を休職することは多くあります。
また、復職を果たしたとしても、
再度の休職に至ってしまうケースもまま見られます。
統計によると、二回目、三回目になるごとに休職期間は長期化しがちであり、
また、復帰から休職までの期間は短くなってしまう傾向があることが知られています。
基本的に、精神科の主治医には「復職できるかどうか」を、
判断する権限が与えられています。
しかし、現実問題としては、復職が可能であるかどうかの判断というのは、
精神科医であってもそう容易なものではありません。
精神科医が患者と関わるのは診察室の中であって、
職場の中で具体的にどういう人間関係があってどう、ということまでもを、
把握することは医師の職掌の限界を超える問題だからです。
そして、そこで登場してくるのがリワーク・プログラムである、というわけです。
■リワークの対象患者

リワークは精神疾患による休職の状態にあれば誰でも受けられるというものではありません。
基本的には不安障害と気分障害、そしてⅡ型の双極性障害までが限界となります。
強い躁病性エピソードを示すⅠ型の双極性障害、統合失調症、アルコール依存症、
パーソナリティ障害の症状が強い人は、リワークへの参加は困難であるとされています。
■リワーク・プログラムの実践

リワークの施行期間は人によって異なる部分もありますが、基本的には半年ほどです。
費用は基本的には保険が適用されるため、月1万円ほどになります。
●通所
さて、そこで具体的に何をするかですが、
最も大事な前提となるのは「施設に通う事」それ自体です。
つまり、朝起きて外に出てどこかに通う、
その習慣を蘇らせることそのものを第一義とするのです。
会社に通う状態になることがゴールである以上、
分かりやすいと言えば分かりやすいですね。
●スポーツ
体力も大切ですので、軽いスポーツも行われます。
単に運動をするだけではなく、
他人との協調性やコミュニケーションを促進するという意味合いも、
ここには含まれています。
●オフィスワーク
オフィスワークを模したスキルトレーニングを行う場合もあります。
施設によってはパソコンを使って実作業をする場合もあります。
グループ活動をするという例も存在します。
●その他
そのほか、講義制の心理教育、スタッフからのアドバイスを受けること、
などが実践の中で行われます。
なお、これらの活動は、
「生活記録票」というもので自己管理していきます。
そしてそれをスタッフが確認し、治療状態を確認していくというわけです。
最終的には職場復帰という形を取るわけですが、それで終わりではありません。
その後のフォローアップまでも含めた一連の過程が、
リワーク・プログラムと呼ばれています。
コメント