はじめに
みなさんは障害年金をご存知でしょうか。
年金、といえば老後に受け取るようなお金をイメージするかもしれません。
障害年金とは、病気や怪我で仕事や日常生活が制限されるようになった場合にもらえる年金です。
どのような病気や怪我でも、
長期間症状が続き、労働や日常生活に支障がでているのであれば、
支給される可能性があります。
怪我や病気は誰にでも起こります。
障害年金という制度を知識として知っておくだけでも、
少しは不安に備えることができると思います。
そこで今回は障害年金を受給するための条件、その流れをご紹介します。
障害年金を受給するための条件
障害年金を受給するためには、
以下4つの条件をすべて満たしている必要があります。
- 初診日に被保険者であること
- 障害の程度が認定基準で定められた等級に該当すること
- 保険料の納付要件を満たしていること
- 日本国内に住所があること
この4つの条件の中でも、特に1.の条件である、初診日が重要です。
初診日とは障害の原因となった疾病につき、初めて診察を受けた日のことです。
例えば、気分の落ち込みで初めて3月21日に診察を受けたとしましょう。
しかし、心理検査を実施して、発達障害の可能性を指摘され、
4月5日に自閉症スペクトラムと診断されます。
このケースの場合、3月21日を初診日として考えます。
初診日は保険料納付要件、請求時期、請求する障害年金の種類など、
いろいろな基準となる重要な日です。
障害年金の請求手続きは、初診日さえ特定できていれば、
スムーズに請求手続きが進んでいきます。
そのため、手続きを始める前に初診日をきちんと特定してから進めることが重要です。
もし手続きの途中で初診日が違うことがわかったら、
書類を作り直すことになり、無駄な労力やお金を使うことになってしまいます。
では、どのようにして初診日を特定するかというと、
初診の病院で「受診状況等証明書」という書類に初診日などを記入してもらい、
初診日を証明することで特定を行います。
2.障害年金の程度が認定基準で定められた等級に該当すること、についても、
詳しく説明させていただきます。
障害年金1級
他人に介助してもらわないと日常生活のほとんどのことができない状態。
入院や在宅介護が必要で、活動範囲が概ねベッド周辺に限られます。
障害年金2級
他人の介助か必ずしも必要ではないが、
日常生活に著しい制限を受け、労働による収入を得ることができない状態。
活動範囲が入院している場合は病院内、在宅の場合は家屋内に限られます。
障害年金3級
労働に著しい制限を受けるような状態。
日常生活はほとんど問題ありませんが、労働については制限を受ける状態にあります。
以上の条件に該当しているかを目安として考えるといいです。
具体的な障害年金の認定基準は、日本機構のホームページで見ることができます。
障害年金を受給するための流れ
次に、障害年金を受給するための流れを説明します。
年金を請求するにあたり、まずは自分自身で受給要件を満たしているか、を確認する必要があります。
「障害年金を受給するための条件」にて紹介した通りです。
受給要件を満たしているか確認後、条件を満たしているようだったら、
初診日がいつかを特定する必要があります。
そのために、初診日の証明となる「受診状況等証明書」を、
医療機関で作成してもらう必要があります。
そのあとは、年金事務所で納付要件を確認します。
障害年金についての具体的な説明を受け、障害年金請求に必要な事項について、聞き取りが行われます。
また、この時に「病歴・就労状況等申立書」などの書類がもらえます。
そして、現在通院している医療機関にて、診断書を作成してもらいます。
診断書ができたら、初診日が正しく記載されているか、
障害の状態が現在の症状と合致しているかを確認します
初診日から現在に至るまでの症状の変化や受診状況、
日常生活変化、就労状況を「病歴・就労状況等申立書」に記載します。
最後に3つの書類を見て、整合性がとれているかをチェックし、
年金事務所や役所の年金窓口に提出します。
これにて障害年金受給が可能となります。
ただし、他にも住民票や障害者手帳のコピー、
扶養している家族がいる場合は戸籍謄本や所得証明書または非課税証明書、
学生証の写しなどの書類が必要な場合があります。
必要書類は住所を変更した場合や疾病などによりケースバイケースなので、
窓口にて確認するといいかもしれません。
年金事務所に行く前に必要事項、事前準備をしておくと、
請求手続きの手間を減らすことができます。
また、障害年金は原則、初診日より1年6か月を経過した時点で請求できるようになります。
結果が出るまでにかかる期間
年金請求書等の書類の提出から、スムーズに進めば約3か月後に結果がでます。
障害年金を受けられる場合は年金証書を、
受けられない場合は不定給付決定通知書が届きます。
ただし、3か月というのはあくまで目安であり、ケースによって様々です。
そして年金証書が届いても、年金はすぐには振り込まれません。
年金証書が届いた月の原則、翌月または翌々月(約1~2か月後)の15日です。
その後は偶数月に前2か月分ずつが振り込まれます。
まとめ
障害年金制度の理解は難しく、どうしても先延ばしにしてしまうかもしれません。
病気で働けない時にわかりにくい手続きをとるのは精神的にも辛いですが、
必要な制度を使って生き抜くことが大切となります。
なるべく社会保険労務士に相談しつつ、手続きを進めるといいかもしれません。
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