算数障害ってなんだろう?
算数障害とは計算、図形、量と測定などの苦手さを抱えていることを指します。
算数には多くの基礎能力が複雑に関係してきます。
そのため、その子によって障害がどのように表れるかは様々なパターンがあります。
単に勉強不足、苦手、怠けなどと捉えられ、障害だとは気づかれないことが特徴です。
また、知的な遅れが算数障害にはみられないため、通常学級に在籍していることが多いです。
このような困難をそのままにしておくと、
自尊心の低下、学習意欲の低下、不登校やいじめなどの二次障害にも発展します。
そのため、早期発見、早期対策が必要であると考えられています。
算数障害の特徴
まずは事例をお伝えします。
事例1
Aくんは小学5年生の男の子です。
コミュニケーション能力は高く、友だちと遊ぶことも大好き。
読み書きの学習に比べると、算数が苦手で、特に引き算・掛け算に苦手意識があります。
高学年になっても2桁ひく1桁でも指を使います。
しかし、他の子は暗算でスラスラ計算をしてしまいます。
事例2
Bさんは小学2年生の女の子です。
国語の時間は大好きで教科書は元気いっぱいに読むことは得意です。
でも算数は苦手です。
さらに時間の感覚をつかむことが難しく、「あと5分で授業が始まるよ」と言われても5分の時間の長さがわかりません。
Aくん、Bさんともに知的発達に遅れがなく、言語的なやり取りも問題なくできています。
しかし、2人とも数に関することが苦手ですよね。
詳しく説明します。
暗算を習得すること・数字の概念をとらえることの難しさ
1桁・2桁の足し算や引き算をするとき、
低学年は指を折って計算する児童生徒が多いでしょう。
もしくは、絵やカードを使って計算しますよね。
でも何回も計算していくうちに計算に慣れて何も考えずにぱっと答えることができます。
しかし算数障害を抱えている場合、高学年になってもすぐに答えられない、
中には指を折って数える、という人もいます。
数字の大小を理解することが難しい(1と5のどちらが大きいか)という人もいます。
数学的な概念をとらえることの難しさ
問題を解くために、数学的概念、数学的な方法を適応することの難しさがあります。
つまり、数字を数字としてとらえにくいのです。
文章題の理解が困難であるといえるでしょう。
算数障害の原因ってなんだろう?
根本的な原因はまだ解明されていません。
しかし国語や理科、社会など他の教科は得意なのに、
算数だけ特別に苦手という場合は数量の処理に問題を抱えている可能性があります。
数量の処理とは……?あまり聞きなれない言葉ですよね。
私たちは「9」という数字を使う時、その数字に対するイメージをもっています。
例えば、「8」よりは大きく、「10」よりは小さい数字である、ということ。
または一桁の数字である、ということなどです。
普段、私たちはあまりにも自然に数と量のイメージを結び付けることができているので、
数のイメージをとらえる、ということはわかりにくいかもしれません。
しかし、学習障害の人たちは、そういったイメージをとらえることが苦手です。
もう少し、詳しく説明しましょう。
例えば、我々が「犬」という動物を指す場合には、
「小型犬」「大型犬」もしくは「プードル」などいくつの語彙が存在します。
ただし、日本語を覚えたての乳児にとっては「小型犬」「大型犬」含め、
すべての動物が「犬」もしくは「わんわん」とまとまった一つの日本語なのです。
同様に数字は「いち、に、さん……」と数える練習をしますが、
その数字の大きさ事態に意味はなく、物の数を数えられるわけではありません。
つまり「いち、に、さん……」がまとまったひとつの日本語なのです。
この数え方は算数障害の人にもあてはまります。
すなわち、数字と日本語のイメージを結び付けることが難しいといえます。
数のイメージをとらえられないと、文章題を正答することは難しいと考えられます。
治療法は?
算数障害を含む学習障害については、現在医学的な方法による治療法はありません。
しかし本人に合った支援をすることで、困難度をある程度まで軽減できると考えられます。
支援として、いくつかの方法がありますので紹介します。
①絵や図を使って、視覚的な説明を取り入れる
文章題においては図や絵を使い、
視覚的に伝えることで問われている内容を理解しやすくなると考えられます。
②具体的なものを使用する
数の概念をつかみにくいため、具体的な物を使用すると伝わりやすい場合があります。
例えば、おはじき、マグネット、カードなどを使って引き算を行うなどです。
まとめ
なるべく早期に専門機関での診察を受けることが大切です。
そして、その児童生徒一人一人に合わせた支援を得られるのは、
正直に申し上げると、専門機関でなければ難しいでしょう。
学校、専門機関、保護者と連携し、児童生徒の生きづらさを改善していくことが大切です。
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