はじめに
ややっこしい説明は要らないよ。
当然もらうべき金額をきっちり支払ってもらえれば、それで結構
基礎年金だの厚生年金だのと、目や耳にするだけで、
条件反射的にこのホンネが口をついてしまうお気持ち、十分理解できます。
しかしながら、混迷の世の中といわれて久しい昨今、
すべて国の統括に丸投げしてはいられないのもまた、私たち国民の現状でしょう。
表題の通り、この記事のテーマは、障害基礎年金と障害厚生年金の違いです。
詳細は複数の公的なホームページ上でも配信されていますが、
それらの多くは難解ゆえ、なかなか読み進められないかと思われます。
そこで、その詳細に関しては、こうした配信にお任せしつつ、
当記事ではそれらを補足できるような、できる限り噛み砕いた説明をお届けします。
この機会に、私たち国民に受給資格が与えられる、
公的な年金制度の基礎知識を、正しく理解しておきましょう。
公的年金制度は2階建て
まずは最もシンプルかつ重要なポイントを、結論ファーストでお伝えしておきましょう。
障害年金を含む公的年金――老齢年金や遺族年金などですね――は、
いずれも、2階建てとなっています。
- ベースとなる1階に相当するのが『障害基礎年金』
- 上積みされる2階に相当するのが『障害厚生年金』
日本国民は、満20歳を迎えた月から国民年金に加入することになります。
障害者の場合、これにより『障害基礎年金』の受取資格を有することとなります。
そして、サラリーマンなど雇用契約を結び、
いわゆる社会人(勤務先から給与を受け取る雇用関係を締結した人)となったとき、
厚生年金に加入することとなります。
国民年金と同時加入することとなるため、障害者の場合、
障害基礎年金と障害厚生年金、双方の受取資格を有することとなります。
これが「2階建て」と表現される理由ですが、
該当する障害等級により、障害厚生年金のみの支給となる場合もあります。
この基礎知識を確かめたうえで、それぞれについて確認していきましょう。
障害基礎年金とは
障害基礎年金は、20歳から64歳までの、すべての人が支給対象の年金です。
自営業主、専業主婦、パートタイマー、アルバイトの場合、
厚生年金の加入はなく、国民年金のみの加入となります。
このため、これらの人が請求できるのは、障害基礎年金のみです。
ちなみに障害等級は1級と2級の2段階となっています。
子供がいるかどうかなどによって加算措置もあります。
注意点として、これらの等級と障害者手帳の等級は関係ありません。
障害厚生年金とは
続いて障害厚生年金ですが、
こちらは先に触れた通り、すべての国民が支給対象というわけではありません。
厚生年金に加入している人が対象の、2階建ての2階部分に該当する年金です。
サラリーマンが加入する厚生年金の加入期間中に、
障害の原因となった病気もしくはケガの初診日があることが条件で、
これを満たすことで、障害厚生年金を請求できます。
労災保険に似た仕組みといえます。
ちなみに扶養者である配偶者は、障害基礎年金の対象者となります。
障害厚生年金の障害等級は、先述の障害基礎年金とは異なり、
1級・2級・3級の3段階に分かれています。
障害等級が1もしくは2級であれば、
障害基礎年金も合わせて支給され、さらに配偶者の加給年金も支給されます。
障害等級が3級であれば、障害厚生年金のみの支給となります。
また、障害等級1・2・3級いずれにも該当しなかった場合でも、
一時金として障害手当金が支給される場合があります。
この障害手当金制度は、障害基礎年金にはありません。
こちらも注意点として、障害者手帳の等級とは関係がありません。
障害手当金とは
障害厚生年金の受給資格には至らない軽度障害の場合、
下記の条件をすべて満たすことで、
一時金と呼ばれる障害手当金を受給できます。
- 厚生年金保険の被保険者期間中に、障害の原因となった病気もしくはケガの初診日がある
- 障害の原因となった病気もしくはケガが、初診日から5年以内に症状が固定し、その時点の障害の程度が、障害厚生年金受給資格には至らぬ軽度であり、なおかつ障害等級表に定まる程度である
- 保険料の納付要件を満たしている
軽度な障害を持つ厚生年金加入者であれば、障害手当金の受給資格が視野に入ります。
まとめ
2階建ての障害年金を、
障害厚生年金制度が定める障害等級を基準に、
今一度おさらいしておきましょう。
1級の場合:
障害厚生年金+障害基礎年金の支給対象
2級の場合:
障害厚生年金+障害基礎年金の支給対象
3級の場合:
障害厚生年金のみ支給対象
厚生年金加入者の配偶者の場合:
障害基礎年金のみ支給対象
1~3級いずれにも該当しない障害の場合:
所定の条件をすべて満たすことで、障害一時金の支給対象と判断
今回のテーマである障害年金に関しては、
その存在自体を知らない人も、潜在的に少なくないと思われます。
この国の年金制度はいずれも、相互扶助の概念に基づき、制定されています。
私たちがそれぞれ負担している納付金で、必要とする人たちを助けるシステムです。
理解や判断に迷ったときには、
関係相談窓口や社労士などの専門家に、躊躇せず確認することをおすすめします。
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