はじめに
言葉の一部だけを繰り返す・引き伸ばす・言葉が詰まって出てこないなど、
スムーズに話すことができない症状が見られるのが吃音です。
吃音とは、症状によって、いくつかの種類に分別され、それぞれ特徴が異なります。
ここでは以下、吃音の原因や種類、
そして身近な吃音の人への接し方などをご紹介します。
吃音の原因
吃音は吃音症(英語ではstuttering)とも呼ばれ、
世代を問わずに見られる、スムーズ言葉が出てこない症状です。
発症する割合の男女比は、
小児期の発症時にはほぼ同じくらいですが、
青年期以降は4:1程度と、男性の方が多いといわれています。
また、吃音は、小児期に他の原因となる疾患がなくても生じる発達性吃音と、
疾患や心的ストレスなどの原因で生じる獲得性吃音に分けられます。
★発達性吃音
小児期にみられる吃音の大半と成人にみられる9割以上は、発達性吃音です。
2~4歳頃に発症することが多く、成長につれて解消する人も少なくないとされています。
その後も症状が残る原因として、遺伝的・発達的・環境要因などが挙げられています。
現在も研究が続けられていますが、まだ確定的な研究結果は発表されていません。
★獲得性吃音
発症時期が主に青年期以降とされる獲得性吃音は、以下の2種類に分けられます。
- 獲得性神経原性吃音:神経学的疾患や脳挫傷などにより発症する吃音
- 獲得性心因性吃音:心的ストレスや外傷体験に誘発される形で発症する吃音
吃音の種類
吃音の代表的な症状は以下の通りで、
これらが併発するケースも報告されています。
★連発
一節もしくは1つの単語の1音、もしくは一部を繰り返してしまう。
「お、お、お、おはようございます」
「そ、そ、そこを曲が、曲が、曲がってく、く、ください」
★伸発
単語の不要な箇所を引き延ばしてしまう。
「けーーーいたいでんわ(携帯電話)」
「じーーーてんしゃ(自転車)」
★難発(ブロック)
第一声が詰まって発せられない。
「…………あ、あ、あの、あの、あのですね」
「…………っ、っ、んっ、…………っ、んそっ、そ、そうです」
なお、連発→伸発→難発の順に、
症状が進行するといわれていますが、すべてがこの限りではありません。
★関連して見られるその他の症状
吃音に関連してみられるその他の症状として、以下が挙げられます。
- 随伴運動:話す場面で顔をしかめる・身体を叩く・舌を出すなどの行為が見られる
- 工夫/回避:苦手な言葉を発さぬよう、他の言葉への置き換えや会話を避けようと試みる
▼ここがポイント
吃音の生じ方には波があり、波現象と呼ばれています。
特定の要因がなく、出やすい時期と出ない時期が繰り返されることされています。
また当事者が置かれた状況・内容・相手によっても変化する場合もあります。
もし身近に吃音の人がいたなら
ここでは結論ファーストから、その理由を補足してみたいと思います。
Q:もし身近に吃音の人がいたなら?
A:話し終える前に助け舟を出すのではなく、話し終えた後に助けてくれる人を心がける。
吃音の人が求める話し相手は、
話している最中は邪魔せず耳を傾けてくれ、
話し終えたときに、その内容にキチンと反応してくれる人物です。
もちろん人それぞれではありますが、
すなわち、「待ってあげられる人」を求めている傾向が多いといえます。
先に述べた通り、自身の吃音を理由に、
会話の場面から逃げてしまう人も少なくありません。
「本当は話したいけれど、周囲に迷惑や不快感を届けてはならない」
という心遣いが、結果として裏目に出てしまうケースです。
★吃音を持つ方が苦手な人の例
これらはあくまで例にすぎませんが、
吃音症の方は、以下のような方を苦手としがちです。
もし、身近に吃音を持つ方がいらっしゃる場合、
自身が以下のような人物像となっていないか、振り返ってみましょう。
- 大声で怒り出す場面が多い人
- 吃音が出た際に馬鹿にしたような反応をする人
- 話を途中でさえぎり主導権を奪い、別の話題を話し出す人
- 「大丈夫?ゆっくり落ち着いて!深呼吸!」などと、話し方をアドバイスする人
- 吃音が生じた際に、良かれと思って言葉の先取りをする人
いかがでしょうか?
良かれと思ってしてしまう行動も、
相手にとっては苦手だと感じられている可能性があります。
もちろん、先に述べた通り、人によって苦手とする人物像は違います。
そのため、どういったコミュニケーションが良いのか、
相手に聞いてみるのもいいですね!
コミュニケーションというものは基本、
話し手と聞き手の良好な関係あればこそ成立します。
それは吃音のある人にとっても同じです。
腫れ物に触れるように接したり、すぐに助けてあげようとしたりする必要はありません。
「あなたの話をきちんと聞くよ、安心してゆっくり話してね」
吃音の有無に関係なく、相手を思いやる心を持ちましょう♪
まとめ
吃音は、内部障害のなかでも表出しやすく、隠すことが難しい症状です。
その症状には個人差があり、当事者が置かれた場面によって現れ方も異なります。
しかしながら、吃音のある人に対し、
配慮をしたいと思いながらも、どのような配慮をすべきなのか、
互いに話し合う時間を持つことができずに、
困っている方々も多くいらっしゃることでしょう。
ということは、もしかすると、
当事者の方から自身の吃音をカミングアウトすることで、
お互い、より円滑なコミュニケーションを行うことができるかもしれません。
会社や学校では「合理的配慮」を求めることができます。
そちらも視野に入れて、自身の吃音と上手く付き合っていきましょう。
「自分なりの話し方でいい」
無理なくそう思える毎日を過ごせますように、心から祈っています。
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