今回は、発達障害と恋愛ということで、TatsukiOさんにインタビューを行いました!
ユーザー名:TatsukiO
障害種別:発達障害・精神障害
障害名:ADHD(注意欠如多動症)、双極性障害Ⅱ型、過敏性腸症候群
- あなたの障害症状について教えてください。
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突発的な行動(頭に浮かんだことをその場にそぐわない場面でもすぐに行ってしまう。
恋愛に関しては、思い立ったらいきなり土下座して告白したりして、相手にドン引きされて振られた)。
思考の混乱(行動と同様に頭のなかに同時に様々なアイデア・考えが溢れかえって、
同時に複数のことをするのがむずかしい。
護師を辞した要因は主にこの事が原因です。
同時に複数の患者を受け持つことが出来ませんでした。
また、思考と行動が纏まらず物を頻繁に無くす、
部屋の整理が出来ないなどもあった。
考え事が止まず眠れない。
恋愛ではあの人が好き、と思ったらすぐにこっちの人が好き、と、
本当に好きな人が分からなくなる。
言語指数が高いが処理速度が遅い。
知能検査でIQ120あったが言語能力が高い代わりに行動速度が極めて遅い。
さらに細かいところに拘りすぎて作業が先にすすまない。
その他各項目が健常者と比べかなりバラつきがあり発達障害「ADHD」と確定診断。
双極性障害については、躁の時に「自分は何でもできる」という根拠のない自信をもって、
ADHDの突発性(言い換えれば行動力)と重なり色々な人に告白をし続けた。
過敏性腸症候群では今までの失敗体験から仕事のミスが怖くなったり、
思わず相手の気分を害する言葉を行ってしまい、
人間関係がこじれ、ストレスで過敏性腸症候群を発症した。
下痢型で仕事中は常に下痢状態。 - 恋愛と聞いてどんなイメージが湧きますか?
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私見ですが「お互いを精神的に支え合うパートナーと出会い、すごす。
そして、いつかは儚く離別のときが来る。この一連の過程。」と表現してみます。
つまり互いが互いの心を言葉、身体的に埋め合わせて、高揚感を得る。
そのために近い価値観のひとを見つけ、
或いは互いに折衷して価値観を近付けあって共にいることだと思います。
ただし、価値観の相違、或いは添い遂げても亡くなるという離別が必ず来る。
今までの経験からそう感じました。 - 今までに誰かを好きになったことはありますか?
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幾度もあります。始めては小学生、現時点の最後は大学生のときです。
一番好きだった人は、唯一、一人付き合った人です。
高校の看護体験で出会った、違う学校の方でした。
名前と学校は聞いても連絡先は聞けませんでした。
しかし、後から好きな気持ちが急に沸き上がり、
人伝に3~4人リレーして、その人の連絡先を入手しました。
家が近所なこともあり、近くの公園ですぐに告白し、付き合いました。 - 今までに誰かと付き合ったことはありますか?
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先ほどの質問の方で、一人だけ付き合いました。
その人の穏やかで愛らしい性格と姿に一目惚れでした。
しかし、彼女の方が2つ学年が下だったにも関わらず私が浮かれ、
彼女の方が大人で価値観が合わず1年経たず別れました。 - 今までに誰かを好きになったことがある又は付き合ったことがあると答えた方、
その中で一番印象に残っている方についてお聞きします。
お相手はどのような方でしたか?
印象でも、性格でも、雰囲気でも、何でも構いません。 -
第一印象は「性格も容姿も愛らしく保護欲がわく」といったところでしょうか。
性格はおとなしめで、雰囲気も飾らない、落ち着いた方でした。
また、人前でいちゃつくのは好きではないらしく、
人がいないところ、人が去ったところが好きだったみたいです。
一方で市立の難関高に通い、知的な一面もありました。 - 今までに誰かと付き合ったことがあると答えた方にお聞きします。
何人の方と付き合ったことがありますか?
(プラトニックな恋愛、性的関係だけの付き合い、恋愛の形態は問いません) -
前述の一人だけです。
- 今まで誰かと付き合ったことがあると答えた方にお聞きします。
これまでの恋愛で、自身の障害について、プラス面で何か感じたことはありますか? -
ADHDはよく衝動的に考えたり動いたりすると言われることがあります。
前述もしましたが好きという感情が衝動的に沸き上がり、意地でもその人と付き合おうと行動しました。
まず友人で彼女と同じ学校の人を探し、その人に彼女の部活の先輩にコンタクトをとってもらい、
そこから彼女の友人、そして、彼女にたどり着きました。
自分の衝動性がプラスに働いた結果かもしれません。 - 今まで誰かと付き合ったことがあると答えた方にお聞きします。
これまでの恋愛で、自身の障害について、マイナス面で何か感じたことはありますか? -
ADHDに関して主に記述します。やはり衝動性です。
好きな気持ちが急に沸き上がり、TPOを考えずにいきなり告白したり、土下座したり、
色々な人をとっかえひっかえ好きになったりハチャメチャな行動をとっていました。
そのせいで、告白した友人や後輩と数年たっても気まずくなってます。
音信不通の人もいます。今思うと、衝動性に駆られ告白しまくったこと、そして、
本当にその人が好きだったのだろうかと後悔しています。 - 将来、結婚をしたいと思いますか?理由とともに教えてください。
また、すでに結婚の経験がある方は、
なぜ結婚に至ったかについて理由とともに教えてください。 -
結婚したいと考えています。
前述の恋愛のイメージにありましたが私は孤独が好きではありません。
誰かと心身ともに繋がり満たされたい思いがあります。
そして、社会的にも結婚し子を産み育て、普通の幸せを感じたいという欲求があります。
また、配偶者と子供を得て自分に自信をつけたいという、
わがままな一種の承認欲求があるからです。
また、親元から離れ別のひとと暮らすという経験をすることが、
自身に必要だと思ったからです(主治医に母親と共依存状態と指摘されました)。 - 恋愛に関する体験談で、障害にかかわらず、印象的な出来事はありますか?
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一番印象的だったことは唯一の彼女と別れたときのことです。
私は別れを告げられた側です。言うまでもなく悲しかったです。
彼女と最後に歩いた道で「後学のために何がダメだったの?」と尋ねたら、
「優しすぎる」と言われました。
これは私の深読みに過ぎませんが、
当時の私の幼さ、彼女が求めていた刺激のなさ、
そのようなことが含蓄されていたように感じられました。
そして、最後の分かれ道、「今までありがとう」そう言って私は頭を下げて別れました。
これが、恋愛のイメージの、
出会いがあれば離別は必ず来る、ということのルーツになりました。 - 自身の障害にまつわるエピソードで、
恋愛関係における印象的なエピソードを教えてください。 -
衝動的な告白の話は前述したので、僭越ながら割愛させて頂きます。
私が障害と付き合っていくなかで衝動性を抑えるために一旦こらえ、
自分を俯瞰し、客観的に眺め正しい行動、
或いは思考をしているのか考えるよう練習をしています。
そのなかで、また突然気になる人が出来ました。
しかし、その衝動を抑え、その人の言動、家族関係、価値観を眺め、
この人は自分には合わないと結果を出すことが出来ました。
この時、初めて衝動に勝って友人関係を壊さずに済んだと思いました。 - 自身の障害にまつわるエピソードで、
対人関係における印象的なエピソードを教えてください。 -
「衝動的な行動」「衝動的な発言」があげられます。
私が看護学生だった頃の実習の話です。
私は班のリーダーに選ばれてしまいました。
その際、実習初日の挨拶で、なぜか看護師長にべらべら話しかけ、
一言でいい挨拶もだらだらと話してしまいました。
そして、話の途中で同伴の教員に急いで連れ出され、
「何であんなことしたの!」「師長も他の看護師も驚いてたじゃない!」と怒られました。
自分はいつも通り普通にしていただけで、
何で怒られていたのか、また、回りの人が怪訝そうにしていた事に何も気づきませんでした。
所謂「空気が読めない」という状態でした。
主治医によると、人の感情を感覚的、直感的に読み取るのが、
苦手なことも発達障害の一つとのことでした。 - あなたは(双方合意の上で)性行為の体験がありますか?
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ございません。
- あなたは(双方合意の上での)性行為全般について、どのような印象を持っていますか?
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稚拙な考えですが「互いの愛を感じ、身体的な欲求を満たす行為」と捉えます。
勿論、子孫を残すことも含まれますが、
それでは「避妊」「堕胎」といった行為は子孫を残すことに矛盾を覚えるため、
敢えて子孫を残す意味合いを除きました。 - あなたはこれまで、性にまつわること全般において、
自身の障害を障害だと感じたことがありますか?
もしある場合、それはどんな時でしたか? -
衝動的に性欲を抑えきれないことがありました。
女友達と旅行にいった際、同室で寝ていました。
私は折からの多動性で夜は寝付きが悪い方でした。
そのとき、女友達の無防備な寝顔、はだけた浴衣から見える下着、
そのようなものに欲情し、衝動的に犯しそうになりました。
上から抱きつく瞬間までいきました。
そのときは理性が勝って、自慰行為で我慢しました。
それは障害から来る衝動なのか、若さゆえなのか、
判然とはしませんが、障害の衝動性や、障害から自信を無くし、
女性と関係を持たなくしていたフラストレーションの表れ、
という風に私は思っています。
それからも、女友達と旅行にいく際は自慰行為が止められません。
他にも、小学生の頃から、
家のなかから遠くに見える女子学生を見て思わず自慰行為に走ることもありました。
完全に勢いと欲求に飲み込まれていました。
犯罪行為に近いですが、一応誰にも実害は与えていません。
衝動性と多動性と性は理性をもってコントロールすべきと経験的に感じました。 - 健常者が障害者と付き合うとき、健常者側が気を付けたほうがいいこととして挙げられる意見がありますか?
もしあれば教えてください。 -
大きくわけて、「障害者に肯定的に接すること」、
「発達障害の度合いや特徴に合わせた環境や生活の工夫をすること」、
「健常者側から自己開示をして、障害者の自発的な自己開示を促すこと」の3つです。
一つ目は、障害者は過去の失敗体験から自信を失い、塞ぎ混んだり自責的になると考えたためです。
私自身、多くの失敗体験を重ねてきました。
周りと比べて学習速度が遅くて授業についていけない、
衝動的に感情が爆発して家族と衝突する、前述の恋愛での衝動的な行動と失敗などです。
そのような障害者に対して、「実は上手く出来ていること、得意なこと」を見いだし、
言葉で伝え自信を取り戻していくことが、健常者には必要と考えました。
私自身、多くの友達や臨床心理士にそのような関わりを受け救われ、自信を取り戻してきました。
二つ目に環境と生活の工夫です。
私の場合、行動の多動と共に思考の多動が多く、
「優先順位をつけることの困難さ、動き回るうちにやるべきこと忘れる」といったことが多かったです。
私の性格で一例を考えました。
例えば、壁やドアにやることリストを制作し掲示したり、
その人が視覚的に物を捉えることが得意なら絵や図表を交えた掲示物にするなどして、
円滑な生活環境を作ることが障害者にとって生活しやすいと思いました。
生活のしやすさはその人と付き合う上での基礎となると考えました。
3つ目に健常者側からの自己開示です。
これが最も付き合う上で大切であると考えています。
発達障害側としては、自分が偏見の目で見られることがとても怖いです。
発達障害と職場にばれたらその日のうちに解雇されたこともありました。
ですので障害者側としては自分を隠すことが多くひとと接することが苦手です。
ですので、相手が「私をどう思っているのか」、
「どのような価値観を持っているのか」を知ることが出来れば、
自ずと私から自分のことを話せるようになりました。
その結果、自分の困っていること、性格、障害を話すことが出来、
親密な関係を築くことが出来ると考えました。
現に私自身、友達と互いに隠しあっていた、
よい面悪い面共に開示することによってより親密になりよき相談役になりました。
これら3つの事が健常者が障害者と接する上で大切であると考えました。 - 健常者が障害者と付き合うとき、
障害者側が気を付けたほうがいいこととして挙げられる意見がありますか?
もしあれば教えてください。 -
私見ですが発達障害だからといって、
相手の感情を理解するのは難しい、限界があると決めつけないことが重要だと考えました。
感情を直感的に、感覚的に読み取ることは難しくても、
理論的に「読み解く」ことは出来るかもしれません。
ですので、相手と分かち合うことを諦めずに、
相手は何を求めているのかを考えることがカギになると思います。
例えば、相手が自分を頼ってほしいというような言動があれば、
承認欲求が高い人なのかもしれません。
……そのように、相手を最初は理論的に見ていくことで、
相手の価値観を知り、障害者側が健常者に歩み寄るきっかけになると考えました。
そして、互いの価値観を知り折衷していき、より親密になるとも考えました。 - 最後に、もしあなたが「障害×恋愛」コラム記事を読むとしたら、
どういった内容について知りたいか教えてください。
ありがとうございました。 -
私は男性ですが、異性(男女各々の視点)が、
「障害を持つ人をどのようにみているのか、実際に偏見を持っているのか」を知りたいです。
特に障害があると「配偶者の候補として見てもらえるのか」ということが気になります。
また、そもそも「恋愛対象の候補」として挙げられるのかも知りたいです。
人の考えは三者三様です。ですので、
「恋愛において障害は負の面としてはたらくのか、それとも大して関係無い」のか、
様々な人の意見が聴きたいです。
それらは自分の障害に関する捉え方、障害と恋愛の関係を知り、学びになると思いました。
アンケート全体を通して冗長な回答になり申し訳ありませんが、
どうぞ宜しくお願いいたします。
以上、TatsukiOさんへのインタビューでした♪
ご協力いただき、ありがとうございました!
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