はじめに
突然ですが、皆さんは自分の視覚世界について、
他者と比べてみたことがありますか?
私たちが自身の目で見て確かめる世界は、それぞれが自分基準です。
とりわけメガネやコンタクトレンズを必要としない人にとって、
「見えにくい」という不自由さは、理解しづらいかもしれません。
一方で、他者と比べることができない性質上から、
自らの視力障害やその兆候に気づかないまま、
症状を進行させてしまうケースも少なくありません。
今回の記事では、「視覚障害」と呼ばれる障害を4つに分け、
それぞれについてわかりやすく解説していきます!
ひとつだけではない視覚障害
視覚障害とは視力や視野などに障害があるため、
日常生活を送るうえで不自由、もしくは困難を感じている状態を指します。
★視覚障害者に見られる困りごと
- メガネやコンタクトレンズを着用しても、一定レベル以上の視力が出ない
- 視界が狭いために、足下の段差に気づけない、人や物にぶつかってしまう
- 一定の色が識別しづらかったり、できなかったりする
- 急な明るさの変化(暗→明/明→暗)に対応できず、見えない状態に陥ってしまう
どの困りごとも、日常生活を送るうえで、一定の支障が生じてしまうのは、
いうまでもないことでしょう。
またこれらの障害は、突発的に生じるとは限らず、
徐々に症状が進行するため、本人が異変に気づくのが遅れがちです。
そして、注意しておきたい点が一つあります。
視力が悪くなった時、初めに考えるのはメガネやコンタクトレンズの着用でしょう。
しかしながら、視覚障害に関しては、必ずしもそれが最善とは限りません。
視覚障害と一口にいっても、その症状は様々です。
物を見る際にピントが合わない以外に、
さまざまな見えづらい症状が確認されています。
見え方を他者と比べるのは大変困難であるため、
自身の視覚障害に気づくのが遅れてしまい、
結果として症状を進行させてしまうケースも少なくありません。
さて、次項からは視覚障害を以下4区分に分けてご説明します。
- 視力障害
- 視野障害
- 色覚障害
- 光覚障害
視力障害とは?
私たちの目は、自分から離れた位置にある物体を見分ける能力を持っています。
この能力を一般的に「視力」と呼んでいます。
より遠くのより小さな物体を判別できれば、それだけ視力が優れており、
視力検査で示される数値が大きくなることは、みなさんもご存知の通りです。
そのほか、「近視」「遠視」「乱視」という言葉も、
割と身近に聞くのではないでしょうか?
特に加齢につれてこれらの症状は目立ってくるようになります。
近視用のコンタクトなどがあるように、
これらはメガネやコンタクトレンズなどで矯正するのが一般的です。
しかしながら、メガネやコンタクトレンズを用いても、
一定レベルまで視力の回復が期待できない場合、視力障害に該当します。
2022年8月現在、身体障害者手帳における視力障害の定義として、
6級に該当する文言は以下の通りです。
「視力の良い方の眼の視力が0.3以上0.6以下かつ他方の眼の視力が0.02以下のもの」。
こう聞くと、少しだけ視力障害が身近に感じられるのではないでしょうか?
視力障害を抱えた場合、見え方の特徴として、
全体がぼやける・白くかすむ、などがあげられます。
視力障害の中でも、「弱視」「強度弱視」「盲」と種類分けがされており、
例えば「盲」は、矯正視力が0.02未満と定義されています。
視野障害とは?
私たちの目は、静止させた状態でもかなり広範囲を見ることができます。
この「目を動かさずに見える範囲」が視野です。
人間の視野は、片方の目だけでも、
水平方向で耳側に90度前後、鼻側に約60度、
上下方向で上側に約60度、下側に約70度といわれています。
その他動物に比べると、人間の視野は狭いほうだとされていますが、
両目で同時に見える範囲が120度前後あるので、
現在の日本で生活を送るうえで、困ることはあまりないといえるでしょう。
よく「視野が狭い」という比喩表現が使われることがありますが、
視野障害とはそういったものとは違って、
物理的に、全体的に見える範囲が狭い、部分的に見えないなど、
視野能力に問題がある状態を指します。
視野障害になると、視界内に不規則に見えない箇所が生じる、
限られた中心部分のみ見ることができる、
視界内に薄黒く見えない箇所が移動を繰り返す、
視界の外周部分が真っ黒に塗りつぶされ見える範囲だけが繰り抜かれたように映る、
などといった症状が表れます。
視力障害と違い、「全く見えない」のではなく「一部だけが見える」など、
症状が多岐にわたるため、視野障害は理解が難しい病気でもあります。
また、環境や体調の変化によってもその困りごとは変化するようです。
色覚障害とは?
色覚障害という言葉は、視覚障害の中でも有名な部類でしょう。
しかしながら、自身や身の回りの人が、
色覚障害であると判断するのは、大変困難であるといえます。
例えば信号の色を見て、「青だ」「緑だ」「青緑だ」……などと、
今までで一度は誰かと討論したことがある人も多いかと思います。
そのくらい、色の見え方は人それぞれだということです。
そのうえで色覚障害と診断されるのは、
色を感じる目の機能に何らかのトラブルがあり、
色の判別がむつかしい状態にある方となります。
色が全くわからない(モノクロの世界のように見える)人もいれば、
特定の色に関してのみわかりづらい人も多く、症状には個人差が見られます。
例を挙げると、緑色と桃色。
モノクロに置き換えた際にそれぞれの濃さが近い色の場合、
一部の色覚障害者には、それらの区別が困難です。
色が多少わからなくても問題なさそう、と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、考えてみてください。
赤信号と青信号が同じ色に見える世界――、
いうまでもなく、日常生活上のリスクが高まります。
そして、色覚障害は生まれつきの場合、特に気づきにくい障害ともいえます。
色の見え方は人によって異なるため、
多少人と見ている色が違っても、自分で問題視できないからです。
ネット上には様々な色覚テストがありますが、正直、信頼性には欠けるものばかりです。
もし、気になる点が少しでもあるならば、
一度眼科で検査してみることをおススメします。
光覚障害とは?
私たちの目には、とらえた光を感じ、その強さを区別・調整する機能が備わっています。
しかしながらこの機能が正常に働かず、調整できない状態が光覚障害です。
例えば車に乗っている時。
長いトンネルを抜けた瞬間、
車窓から見える景色が一瞬真っ白に明るく感じられることがあります。
とはいっても、すぐにその明るさに慣れ、目がくらみ続けることはありません。
しかしながら、光覚障害の場合、目に飛び込む光量を適正に調整できず、
いわゆるホワイトアウト状態に陥ってしまい、眩しさで物を識別できません。
反対に、暗い夜道などでは、見る物を識別するうえで必要な光量を感じられず、
真っ暗闇状態に陥ってしまうなど、日常生活を送るうえでの不自由が避けられません。
光覚障害はあまり有名ではないですが、
この機会にそういった症状を持つ視覚障害者がいることも、
頭の片隅に入れてくださったら幸いです。
ちなみに、光覚障害とは全く違いますが、
著者の持つ「視覚過敏」でも、似たようなことが起こります。
目に飛び込む情報を上手く整理できず、
ホワイトアウト状態に陥ったり、物の識別が困難であったりします。
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異変に気づいたなら
視覚障害は本人でもその兆候に気づきにくく、
「疲れ目だろうな、目薬さしておけば大丈夫だろう」
「これも老眼の一種だろうから仕方ない」
といったように、多少見えづらいと感じたとしても、
対処せず放置してしまうことがあります。
「もしかしたら視覚障害かもしれない」と思いつつも、
医師からの診断されてしまうのを恐れて、
病院に行くことを先送りにしてしまった体験談も、数多く語られています。
これは発達障害にもいえることですが、
診断されようとされまいと、今、困っていることに変わりはありません。
それならばなお、早めに病院へ行って対処をするべきです。
勿論、行動に移すのには勇気がいることでしょう。
まずは身近な人に相談してみる、それが難しければ、
あえて遠くの人――インターネット上で繋がっている人などに、
自身の悩みを相談してみるのも一つの手です。
なお、困りごとの内容にかかわらず、
私自身も皆様からのご相談を受け付けております。
何か困ったことがありましたら、
どうぞ遠慮なくお問い合わせフォームより、ご相談くださいませ。
実は、著者の知り合いにも数人、視覚障害を持つ方がいらっしゃいます。
その中の一人には、
「アルコールや炭酸を摂取すると見えづらくなるけど、抜ければ改善を実感できる」
といった体験談を持つ方もいますが、
あくまで個人的な体験談であり、医学的な裏付けがあるものではありません。
それでも、同じような困りごとを持つ者同士で話をすれば、
多少は抱えている不安が軽減されるかもしれません。
可能であれば私を介してご紹介することもできますので、いつでもご相談くださいね♪
まとめ
目という非常に繊細な器官は、私たちの身体と深く関係しています。
今回の記事でご紹介した通り、視覚障害の症状はさまざまです。
また、それぞれの症状に個人差があり、不具合の程度も刻一刻と変化します。
わずかでも不具合を感じたのであれば、放置や素人判断での対応は禁物です。
専門医の指示に従いつつ、自分自身の身体についてよく知ること。
これはどんな障害を持つ上でも大切なことでしょう。
なかなか難しい部分があるのは承知の上ですが、
なるべく自身の症状を冷静に把握し、適切な対処を続けて、
日常生活で起こる困りごとと上手に付き合っていけると良いですね(*´ω`*)
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